2011年6月6日月曜日

母の手

夕食も終わり、電気を消して一足早く眠りについた母が、こっそり起き出し、キッチンシンクの前で何やらやっている。

みると、クッキーをモグモグ。
両手はクッキーから溢れたバタークリームがべっとり・・・

それを洗おうと試みるが、手をこすらず、流れ落ちる水道水にあててるだけ。

???

そうか・・・・
両手をこすると手にバタークリームが広がるから、どうしていいのかわからないんだ。
仕方ない、母の手に石鹸をつけて俺が洗うことに・・・・


洗いながら、思い出がフラッシュバックしてきた。


小さく、骨だけの、脆弱な指
薄い皮の皮膚

弾力のない、母の手

この手で俺を叱り、育て、一緒に生きてきた
父の死後、きっと、この指で涙をぬぐい、苦しみに握りしめていた

子供を愛し、包んできた
優しく、強い手だった

寂しく震える乾いた手を、俺の手で温めるように
ゆっくり、そっと
もうこれ以上、壊れないように
丁寧に洗った・・・・


皆さんは、母の手を洗ってあげたこと、ありますか?

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