2011年6月7日火曜日

劇的ビフォーアフター(廃在庫の店)


今日ご紹介するのは千葉県の田舎町にある小さな玩具店。
主は10年前からアルツハイマー性痴呆症を発症し、店の経営ができず、主とともに商品も朽ちていってしまいました。
1階 店舗











 
2階 倉庫

東北大震災の影響で、商品の一部が傷み、棚が歪み、未だに続いている余震でいつ崩壊するかもわかりません。
さらに、風呂場も地震で壊れてしまい、主を襲う老化や認知に備えるため、バリアフリー化を進めなければなりません。
そこで立ち上がったのは、「バリアフリーのマエストロ」、匠がこの家の廃在庫を徹底的に撤去します。






まずは、商品に思い出と未練が残り、生活という時間を止めてしまった主を、介護ホームへ預けます。
いつも外出を嫌がる主も、介護の匠にかかれば、まるで魔法にかけられたよう。
「お友達が、お母さんの若いときのお話を聞きたいって待ってるよ。お迎えに来たよー」
その一言で、さっそうと車に乗ってしまうではありませんか。 


近隣の皆さんに、今日の作業について挨拶周りをすると、ほどなく撤去の匠が2トントラック4台で到着。
1階の店、2階の倉庫にある商品、什器の撤去方法と内容について再確認していきます。
今回依頼した、撤去の匠のとった方法とは・・・・

さあ、皆さんでお考えください。
答えはCMの後で・・・


匠のとった方法とは、商品、什器の全てを全部撤去会社のターミナルへ運びます。
ターミナルでは、価値のある商品と、産廃となる資材、木材、衣類等に分別。
価値のあるものは、匠自らリサイクル業者へ持っていき買取してもらい、なんと、その金額を後日返金してくれるというのです。
もちろん、その他は産廃として処分費用がかかります。


10人のスタッフが、あっという間に運び出していきますが、よく見ると・・・・
なんと、どういうことでしょう。
ただトラックに詰め込むのではなく、すでにその時点で分別を行っているではありませんか。
商品、木材、鉄くず、衣類・・・
そのため、1台づつ積み込むのではなく、4台のトラックに仕分けしながら積み込んでいたのです。



こうして、主がいない間に作業は終了し、店と倉庫はあっという間に空っぽ。
予定時間よりも早い対応に、匠の技が冴えわたります。

1階 店舗












2階 倉庫

あとは、主を待つばかり。










4時過ぎに介護センターの車に乗って主が到着。

残る不安は、商品に大きな未練があり、内緒で撤去してしまったことをどうやって告白するか・・・

以前、病院の先生から、「店を運営できなくとも、環境を変えることはお止めになったほうがよいでしょう。在庫は、お母さんにとって「思い出」なのです」と言われたことがありました。

これが、将来において安心で暮らしやすい環境を妨げていたのです。

そんななか、何と言って説明したらよいのか考えがまとまらないまま、主を迎えます。
すると、向かいの食堂の匠が、驚きの方法で説明しはじめたのでした。











「おばちゃん、全部片付けて綺麗になったでしょ。今度、何始めよっか?」

するとどうしたことでしょう。
今まで、商品を片付けることをあんなに嫌がっていた母が、目を輝かせながら返してくるではありませんか。

「こんなに広くなっていいね。これならここで教室ができるようだよ」
 
匠のとった驚くべき方法とは、あっけらかんとして全て隠さず話すこと、でした。

主が認知症になってしまったことにより、商品までもが、その目的と時間を忘れ、活きることなく佇んでしまった店に、沢山の匠による新たな息吹が、まるで新芽を謳う春風のように、優しく麗らかにそよぎ、主とその環境を守り続けるのでした。

次週の劇的ビフォーアフターは、主人を苦しめる店舗の和式便所です。
では、次週もお楽しみに。





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