2011年10月30日日曜日

弟の結婚式

10/29(土) 神保町にある学士会館で弟の結婚式が行われた。
弟は漫画の仕事に携わり、モーニングやビジネスジャンプ、少年エース等で執筆し、「ふしぎふしぎ」「どきどき」などのほのぼのとした作品から、「黒鷺死体宅配便」なんていうホラー系漫画まで幅広い。
特に「MAIL」という作品は「リング」で有名な角川ホラーシネマとして、主人公に須賀貴匡、キャストは栗山千明、森下千里、あびる優など豪華俳優陣により実写化され、映画やDVDでも発売された。
Wikipediaで名前を検索すれば出てくる。なんて凄いんでしょう。
俺なんかサラリーマンじゃ絶対に無理。

そんな弟は、実に質素で、決して派手でなく、でも自分らしく堂々と生きている。
漫画が心底好きで、一日中想像を膨らませながらペンを走らせ、読者へ夢を運んでいる。
全ての漫画に共通するのは、人間が心を打つ瞬間を明確に描写しているところ。
ホラーだって、ただ怖いのではなく、心情に訴えるものがある。
本当はとても優しく、ピュアな心の持ち主。

母親が認知症になった頃から、川崎の住まいを売って実家の近くに移り住んだ。
仕事がしにくくなるのに、そんなこと顧みず・・・

俺は、弟の進む人生、やりたいこと、生きがい、を大事にしたいと願っている。
弟の作品が好きだし、もっと有名になってほしいと思っている。
弟の考え方や生き方を誰より信じ、その全てを肯定し、応援してやりたい。
弟は俺の誇り。
だから、それを否定するヤツを許さないし、障害となるものは俺が取り除いていきたい。
それが兄貴としてやらなければならないことだと思っている。

そんなこともあり、弟に面倒がかからないよう、俺が実家に住み母親の介護を頑張っている。
そんな俺に、「兄貴、おれは直接母親の面倒をみることができず、兄貴に面倒かけてごめん。だから兄貴と母親のために貯金してたんだ。これを自由に使って」と大金を差し出してくれた。
優しさに溢れるその気持ちが胸に響く。
でも、それは受け取れないよ。
それは今後の二人の未来に使ってほしい。

いままで、縁もなく1人で漫画に没頭し、一気に駆け抜けてきた弟に訪れた人生の春。
こんなに嬉しいことはなく、こんなにめでたいことはない。
しかもお嫁さんの綺麗なこと!
ちょくちょく実家にも顔を出してくれる。
二人の優しさが手に取るよう・・・

結婚式に認知症の母親を出席させるかどうかは、俺の判断に任せるということになった。
一番信頼している姉にも相談した。
結婚のことも分からず徘徊し、沢山の人いきれに疲れ、排泄もままならず、記憶に残らない・・・
結果、連れてくるのは、母親本人が一番辛くなるので辞退した。

披露宴では、俺の隣に母親の席が設けてあった。
もしも、のことを考えて、のことだという。
その空いた席に食事も運ばれた。
給仕の方に欠席なので結構ですと告げると、新郎からの気持ちですと返された。

本当は連れてきてほしかったんだ、と気付かされた。

靴をはいてなくても、ズボンをはき間違えても、徘徊しても、食事が上手に食べられなくとも、この時、この瞬間は、自分を見守ってほしかったんだ。
幼いころ父を亡くし、身を粉にして一生懸命になって育ててもらった大切な母に、「ありがとう」って言いたかったんだ・・・・

悔しかった・・・
ごめん。
弟の気持ちを考えてなかった。

溢れる嬉しい気持ちと、悲しい想いが交錯し、涙で溢れた結婚式だった。
二人のこれからの人生が心豊かで幸多からんことを祈念して、乾杯!

おめでとう!
浩資&多恵ちゃん!

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