そう、あの熊谷喜八シェフプロデュースのレストラン。
ここでは、滑走路を目の前においしい食事を楽しめる環境がある。
しかしながら、航空機の出発時間が20時でほぼ終了してしまうため、飲食店としてのポテンシャルが活かせない。
夕食を楽しむ時間に旅客がいなくなってしまう。
前回BLUE NOTE TOKYOさんにお力添えいただいたこともあり、結構カンタンかなーなんてタカくくってたら、今回は協力できずとの厳しい返答。
んー・・・
また特攻で頑張るしかない・・・
そこはウチの自慢の課員の素晴らしい力でどんどんカタチになっていく。
もう、俺の出る幕無し。
ポスターの出来も上々。
ところが周りからはネガティブな意見が漏れてくる。
「今までいろんな事試したけど、空港の特性上お客様は来ないって・・・」
「食事の手配を頼んでたけど、予約が来なかったらどう責任取るんだ・・・」
「大体20時でフライトが終わっちゃうんだから、22時までのイベントなんて、非航空旅客がわざわざ来るかな?」
こんな声など聞くものか!
ちょっと不安は残るものの、やるっきゃないって。
集客用にフライヤー撒きに行こうぜ。
出かける俺を制する課員。
「もう予約いっぱいですよ!満員御礼!SOLDOUT」
え?まじ?
もしかしたら、当日キャンセルって多いんじゃない??
時間は迫り、KIHACHIでは予約席の準備がすすむ。
ドキドキしながら客待ち。
JAZZを演奏するのは音楽大学のカルテット。
この手配も、ウチのスタッフが特攻で取ってきたもの。
演奏者の学生たちがリハーサルで音出しを始めると、ポツポツとお客様が・・・
んー、どうかなー・・・集まってくれるかなぁ・・・
演奏直前、ふと思い立った。
そういや学生バンドだから、バンド名すらなかったはず。
よし!名前つけてやろう!
羽田空港がBIGBIRDだから、そうだ!SILKYBIRDだ。
すぐ学生に相談。「え?その名前もらっていいんですか?」
んー!いいとも。「紹介しましょう、羽田空港SILKYBIRDです!」
JAZZが演奏されると同時にお客様がほぼ満席に。
みんなが、滑走路を背に生バンドのJAZZに酔い、おいしい食事に会話も滑るように弾む。
協力いただいたSUNTORY白州にグラスを傾け、高質な非日常を楽しんでいるよう。
食事やドリンクをサーブする職員たちも、まるでこの場所が憧れのBLUENOTEやSWEETBASILEになったようで、笑顔の接客が眩しい。
今まで、こんな夜にこんなに沢山のお客様が集まっただろうか・・
演奏者が笑み、客がSWINGし、踊るように料理を運んでいる。
そんな光景を、隣のバーカウンターで見ていてなんだか涙が出そうになった。
やったぜ!って感じ。
頼もしいメンバーも俺の周りに笑顔で集まってくる。
目を合わせ、小さいグラスでチンと乾杯しながら労をねぎらう。
達成する喜びが皆の顔に浮かび上がる。
羽田の持つポテンシャルを上げていく。
それが俺たちの仕事。
大変だけど、でも仕事って面白い。
一人じゃできないことだけど、皆が集まって、力を寄せ合って、考えを統一して、一点に集中して向かえばなんだってできる。
そう思えた瞬間だった。
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